大阪で10年間カフェを運営してきたオーナーの土井さんが、両親の住む大分に帰省するために2023年3月にオープンしたカフェ。
中学、高校と大分で過ごした土井さんだが、土地勘がなかったことやコロナ禍の関係で物件探しはネットが中心だったそう。
そこで見つけたのが今のお店で、一目見て気に入った古民家は築100年の元銀行。
以前は美容室や喫茶店として運営されていたという物件を実際に見て、街並みにも感動しほぼ即決で契約したとか。
「高校時代に大分に住んでいましたが、こんな街並みがあるなんて知りませんでした。風情があって、静かな環境で、なおかつ観光地的要素もあるところに惹かれました」と土井さん。
その後、工事中も近所の方や通りすがりの方から「何のお店ができるの?」、「いつオープンするの?」、「がんばってね。お店できたら寄りますね。」などの声をかけてもらったそう。
「よそ者のボクを受け入れてくれて、応援してくれる街全体の懐の深さと、戸次に関わる人たちの人情味あふれる優しさにも感謝してます。あらためてココにお店を出店してよかったなと思っています。」と土井さん
店名の『ワンシーン』は大阪時代からの店名をそのまま引き継いだ。「お店にとってお客様は主人公だから、その主人公の一場面(ワンシーン)に利用して貰えば」。 価格もできる限り抑え日常的に利用できるよう工夫しているが、お客さん(主人公)にとって非日常を感じられるように、コーヒーを入れるのもサイフォン式にこだわり、丁寧にドリップしてお客さんの目の前で注ぐ演出も。
「少しでもうちのファンになってもらえばいいなと思って自然に始めたことなんですが、お客さんがよく動画とかとってくれてて…。なんか嬉しいですね笑」。照れ笑いしながらも職人としての誇りを感じる土井さん。
シャイな土井さんがオススメするのはフルーツをふんだんに使ったワッフル。
地元産の素材を求めて直接農家をまわり、イチゴやキウイ、イチジク、栗、さつまいもなど季節に応じて食材を変えている。これも毎回来ても飽きさせない日常使いができるカフェを目指しているからだろう。
また、朝8時から11時までのモーニングタイムも特徴の一つ。大阪ではモーニングをやっている喫茶店は多く、大分では馴染みがないかもしれませんが大分にもモーニング文化を根付かせたいという土井さんの思いもあって始めたそう。
土日は家族連れのお客さんが来てくれるなど、人気も上々。
2階には畳スペースがあり、レンタルスペースとしてベビーマッサージやその他イベントなどに開放している。子育て中のママたちが、気兼ねなく来れるようにしたいというコンセプトも。どこかにお出かけしたくてもできないママさんたちにとってはありがたい場所です。
地域に根差し、地域に密着し、地域の情報発信の場として、お客さんの日常の一場面(ワンシーン)を作り、子育て世代に優しいカフェの挑戦はこれからも続いて行くのでしょう。